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第20章 夏子の恋

「なっちゃん…なっちゃんてば！」

ちょうどチャイムが鳴った頃、学校の裏庭にある木々が植え込んであり、ヨーロッパ風のアーチやテーブル、椅子が置かれてある憩いの場辺りで、夏子は、木の葉が落葉し、落ち葉が埋め尽くされている所を、ガサゴソと、ただ目的もなく、歩いていた。

（なに、突然。冷やかし？いや、紘くんに限ってそんな事…）

と、入学してから7ヶ月が経ち、部活内で紘がどんな人かを知っている夏子は頭の中が混乱状態になりつつ歩いていた。

萌が後を追いかけている事は知っているが、何をどう話したら良いのか分からない夏子は振り返る事も出来ない。

ドキドキと胸が高鳴っているが、何分実感が持てていない夏子。

びっくりを通り越していているので、頭がパニック状態だった。

足が縺れる。

「キャッ」

「なっちゃん！」

と萌が駆け寄ってくる。

座り込んで、ただぼんやりと空を見ている夏子に、

「なっちゃん、取り敢えず、あそこ座ろ？」

と、憩いの場があるベンチに夏子を立たせて誘導させる。

座った直後に抱いた大きな疑問を萌にぶつける。

「ね！あれどう言う意味なの？」

そんな夏子の言葉に

「た、多分好きって事なんだと思う」

と、萌は言う。

「紘くんが？え？何？嬉しいんだか恥ずかしいんだか意味が全くもって分からないんだけど」

と言う夏子に

「う、うん、あれは私でも驚く。まこちゃんがあんな風にしたら多分まこちゃんを殴ってる」

そんな言葉に夏子が意外に思い、

「萌でもそんな事やるんだぁ」

と言う。

「私ら、喧嘩はしないけど、まこちゃん、結構私を怒らせたりしてるよ」

と言う言葉には

「ははは、まこちゃんらしいや。」

と、肯定の色を顔に浮かべた。