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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第27章 静かな日常と影
それを物陰で見ていた人物がいた。
豊だ。
萌と誠を距離を置いて、尾いて回っていた。
寝泊まりは、売人が教えてくれた、萌の家に近い、倉庫の片隅。
(ナイフの調達は、まだ先になるらしい…)
拳を振り払う誠を見て、
(俺の選択は間違いではないようだな…)
と、確信する。
亮と誠が喧嘩をする姿で、
(恐らく、力技であいつには勝てない)
とは分かっていた。
しかし、刃物だとどうだろう…。
フフフ……笑いがこみ上げる。
(あいつがいなくなったら、萌は僕のものだ……)
狙うのはあの日。
あの日にあいつらをどん底に突き落としてやる…。
拳を握り締め、学校とは反対方向に歩いて行く。
周囲に溶け込む豊に、駅を行き交う人々が、豊がどんな危険な事を考えているかを知らない…ーーー。