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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第27章 静かな日常と影
教室に入ると、いつもと打って変わって、シーンとしており、誠達4人が入って来るのを遠巻きから見ている。

あの現場にいなかったクラスメイトもいたけれど、いて、事件の全容を知っているクラスメイトもいる。

恐らく、流れに流れに、クラス全体に噂が広まったのだろう。

「おっはよ」

ポンッと、その後から教室に入って来た波留が、ポンと肩を叩く。

その静けさを見て、

「あー…なんか広まちゃったんだねぇ……」

と、ポソッと誠の隣で呟いた。

噂話は伝言ゲームの要領で、話がどんどん変わって行く。

良いも悪いもあるが、この場合は、不安が大きいのだろう…。

誠は思った。

また続々と教室にクラスメイトが入って来るが、仲の良い子に

「おはよー」

とは挨拶しても、自分の席に座ったまま、動こうとしない。

誠は自分の席に座り、後方にある、榎本豊の席を見る。

(来てねぇか。)

捜索願は八割方決定。恐らく、ドラッグを使ったことから、家宅捜索も家に入るのだろう。

そう思っていたら、いつものように

「みんなおはよーう!」

と、ゆう先生がやって来た。

「ゆっくり出来たー?」

など言うゆうに

「…先生…それで、どうなったんですか…?」

「あの時居て、怖くて仕方がなくて眠れなくなっちゃって…」

と、ぽつりぽつりと、言いだすクラスメイトの姿があった。

(俺たちと一緒だな……)

あの時の衝撃は誠自身も自分のキャパを超えるものだった。

それ以上に萌は、当事者として、不安であえでいる。

チラ…と萌を見る。

俯いて、ゆう先生の顔を見ようとしていない。

学級崩壊のような糾弾がないのは、恐らくゆう先生の信頼がとても厚いと言うことなんだろう。

誠は思った。

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