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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第34章 誠の涙
いつの間にか、自分たちが住んでいた街からも豊の父親は消えていた。
だから、追い掛けたくても追い掛けられない。
豊の父親からやられた事にここまで自分がこんな感情に支配されやすいのか…自分の感情がどんどん不安定になって行く事に驚きを隠せずにいた。
ロックの焼酎をグイっと飲み干して
(幸せってなんだろうね…)
そればかりを思う。
おもむろに、携帯電話を取り出す。
電話帳から見つけ出したのは、豊の父親の電話番号。
『こちらは◯◯です。お掛けになった電話番号は現在使われておりません』
何度電話したんだろう。
毎月、養育費は支払われているけれど、電話を架けたら音信不通。
それを重々承知しているのに、千佳は豊の父親の電話番号を電話帳から消す事が出来ない。
「フ…グスッ」
涙が溢れてくる。
千佳の手によって、沢山傷付いた豊もきっと電話が繋がっても出てくれないだろう。
誠の言葉で、ゆうの言葉で、ハッとさせられる事は沢山あったが…。
自ら壊した家庭の修復は出来ない…。
そう思いながら、ひたすら泣き続ける。
客の来ない店内。
嗚咽する泣き声だけがこだましたーー
一方豊は、毎晩酒や薬物でどんちゃん騒ぎを繰り返し、寝静まっている部屋で一人、携帯電話を弄っていた。
電話帳を開き、自分の母親の電話番号を表示する。
(…架けた所で…何になるんだ…)
ここ数日、何か足りないとは気付いてた。
願望を達成したのに、満たされない思い。
良く良く考えてみて、単純明快に、母だ…そう思った。
離婚した母親の暴力から、気持ちを察し、最初は暴力を受けていても涙一つ零しはしなかった。
逆に、それが母の火に油を注ぐ…分かっていても、泣けなかった。
けど…
(このザマだ)
フッと笑う。
アパートから突き落とした直後から、豊は薬物に染まった。
その前までも、寂しさからクラブに行く事はあっても、自分の将来を考え、断じてやらない…そう決めていた。
けれど、階段から母親を突き落とした日、豊は自分の人生が無くなってしまったかのように感じた。
そこからは萌にひたすら愛情を求め続けた。
だから、追い掛けたくても追い掛けられない。
豊の父親からやられた事にここまで自分がこんな感情に支配されやすいのか…自分の感情がどんどん不安定になって行く事に驚きを隠せずにいた。
ロックの焼酎をグイっと飲み干して
(幸せってなんだろうね…)
そればかりを思う。
おもむろに、携帯電話を取り出す。
電話帳から見つけ出したのは、豊の父親の電話番号。
『こちらは◯◯です。お掛けになった電話番号は現在使われておりません』
何度電話したんだろう。
毎月、養育費は支払われているけれど、電話を架けたら音信不通。
それを重々承知しているのに、千佳は豊の父親の電話番号を電話帳から消す事が出来ない。
「フ…グスッ」
涙が溢れてくる。
千佳の手によって、沢山傷付いた豊もきっと電話が繋がっても出てくれないだろう。
誠の言葉で、ゆうの言葉で、ハッとさせられる事は沢山あったが…。
自ら壊した家庭の修復は出来ない…。
そう思いながら、ひたすら泣き続ける。
客の来ない店内。
嗚咽する泣き声だけがこだましたーー
一方豊は、毎晩酒や薬物でどんちゃん騒ぎを繰り返し、寝静まっている部屋で一人、携帯電話を弄っていた。
電話帳を開き、自分の母親の電話番号を表示する。
(…架けた所で…何になるんだ…)
ここ数日、何か足りないとは気付いてた。
願望を達成したのに、満たされない思い。
良く良く考えてみて、単純明快に、母だ…そう思った。
離婚した母親の暴力から、気持ちを察し、最初は暴力を受けていても涙一つ零しはしなかった。
逆に、それが母の火に油を注ぐ…分かっていても、泣けなかった。
けど…
(このザマだ)
フッと笑う。
アパートから突き落とした直後から、豊は薬物に染まった。
その前までも、寂しさからクラブに行く事はあっても、自分の将来を考え、断じてやらない…そう決めていた。
けれど、階段から母親を突き落とした日、豊は自分の人生が無くなってしまったかのように感じた。
そこからは萌にひたすら愛情を求め続けた。