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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第5章 おふろの時間
そんな言葉に、萌が赤くなり、
「の、惚気なんてないわよっ!」

と言う。


「え〜?」
「えぇぇぇ〜?」

紘と、普段涼やかな顔の波留は不服そうな表情で言う。

「やっ!だって!」

なんて言うと

「誠も真っ赤な顔して拒否るしさぁ〜。あいつ、前からバレバレだったし、でも避けるから、萌ちゃんしかいないんだよぉう。」

紘は、背が誠と同じくらい。
だから萌が見上げる形になるが、上目遣いするような顔で言う。


「私から惚気話が打ち出の小槌みたいに出るとでも?」

「「「出そう!てか出したい!!」」」

萌の前で、真面目な顔で言う三人。

萌は後ずさりしながら、

「そ、そんなものはない!」

なんて言う。



「そしたら、言うまで送り届けなきゃ〜♪」

ニヤリと笑った紘が再び歩き出した。
続いて二人も歩き出す。

「やだ!ちょっと!まって!」

三人の遅れを取り戻すように、早歩きしていく萌。










帰り、紘は夏子と紘三人で
「じゃなぁ〜」
と、手を振って、アパートの階段を駆け上がる萌にそう言う。



「っにしてもびっくりしたぜ。」
「そう、前は勘ぐろうとする事なんて無かったのに」
と言う紘と夏子の言葉に

波留は

「いや、普段みんなやらない事やったら、そう思うさ。
…誠もどうするつもりなんだろうな…」

なんて言う。


紘はその時、何か視線を感じた。
パッといなくなる人影に



(…これも共有しとかなきゃな…)

真面目な顔をする。

まだ一回しか、ここには来ていないけれど、もしかしたらずっと続くかもしれない。

それで、視線を感じるって、やっぱり…。



(大切な二人が傷つくかもしれねぇってなって、行動に移さない友達なんかいるか)


そう思いながら、三人は帰って行った。
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