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第9章 偽彼作戦

二人だけの世界。


（ああ…）

足が地に沈みそうになるのを

隆が抱き止める。

「美咲……大丈夫…大丈夫だから。
今まで本当に辛かったよな？限界だったんだよな？
だから高橋さんに話したんだよな？」


そう言う隆に、美咲は積り積もった自分の感情が爆発したように涙が溢れてくる。

隆の胸に顔を埋めながら

「ンクッ…隆…本当にごめんなさい…。心配してくれてるって分かっていたの……けど言えなかった……」

涙がどんどんと溢れてくる。

ぎゅっと隆は抱き締める。

「そんな事、俺もそんな事降りかかったら誰にも言えない。全然大丈夫。むしろこっちは高橋さんから聞いて、良かった…そんな感じだ…」

笑いながら言う隆に嗚咽が激しくなる。

しばらく、そのままでいて、美咲も落ち着いてきた。

そして、隆にずっと言いたかったことを言う。

「隆？」

「ん？」

「助けて……」

そう言う美咲に


隆は


「任せろ。」


そう言った。