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第9章 偽彼作戦

美咲に水をかけられた、哲治はポタポタと水が滴り落ちる顔を呆然として、美咲をみる。

ダイナマイトが爆発した美咲は

「もっとやって欲しい…？」

と、コーヒーカップにも手をかけた。

それをパシッと隆が止める。

「辞めろ。ここで縁を切るんなら、それをやるとクリーニング代とか請求される…また会う事になるから…」

と言う言葉に、ハッとして、腰を宙に浮かせていた美咲はソファに腰を下ろした。

「美咲？ここで待ってて。あと誠？一緒に来い。」

後ろの席で待機していた誠が

「は、はいっ」

と、後ろのソファから慌てて出てくる。

隆は哲治の腕を掴み、無理やりずるずるとソファから立ち上がらせ、

「お前、こっち来い」

と、店から出した。


（私が行かないと、終わりにならない…）

この気持ちから解放される瞬間を見届けなくては。

美咲は後ろで、パフェを食べる手を止め、呆然としていた萌と顔を見合わせる。

美咲は店員に、

「また後で来ますから！」

と、言い、

「萌！！」

と、萌に声をかける。

萌は頷くと、そのまま店を飛び出した。


（隆…どこ？）

そう思って見えたのは誠の後ろ姿。

店の隙間に隆は哲治を連行したようだった。

「た、隆先輩…」

誠は止めようとする、奥の方で

隆が哲治の胸ぐらを掴み、店の壁をダンッと叩きつけていた所だった。


「お前のせいで美咲がどんな思いしてたか、体で分からせてやろうか…？」

胸ぐらを振る隆。