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第9章 偽彼作戦

いつもは見せない、威圧感たっぶりの、冷静な顔、言葉遣いをしていない隆の姿。

「す、すみません。もう二度と美咲に近づきませんから！」

そう言う哲治に

「お前に美咲を呼び捨てにされたくねーんだよ！」

隆はバキッと拳を哲治の顔に叩き付ける。

「ごめんなさいごめんなさい」

そう言う哲治は先ほどまで見せていた威圧的な態度ではなく、すっかり怯えた顔になっていた。

「約束できるか？もう美咲に近づかないことを！」

そう言い、また、バキッと反対の方から拳を叩き付ける。

歯で唇を切り、唇から血を流した哲治は

「畑中さんにはもう近づきません！！」

と言う。

隆は胸ぐらを掴みながら

「絶対だな？また近づいたら今度はお前を警察に突き出してやるからな」

と言う。


「分かりました。もう、本当に近づきません！！」

そう言う哲治にパッと手を離す隆。


どさりと、尻餅をつき、呆然とする哲治を尻目に、

「行くぞ、誠」

と、隆は誠に声をかける。

「は、はい」

そう言い、裏地から出て来た隆が店から出て、呆然としてその様子を見ていた美咲を見て

「ははは…見られたか……」

と、苦笑いをした顔で美咲を見た。


（〜〜〜〜！！）

言葉に出来ない思いが溢れて来て

美咲はポタリポタリと、涙が溢れてくる。

気を張っていたのが緩んだようだ。


隆は

「よく、頑張ったな…」

そう言い、美咲の頭を撫でていた。