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第14章 やさしいじかん

ーーーーーねぇねぇ、伊東主任って稲瀬さんにやたら甘くない？


あっ、私も思ってた！狡くない？
ちょっと目と胸がデカいだけなのに


あ、ごっめ～ん。ぶつかっちゃった♬


主任は私と付き合ってるんです！
稲瀬先輩、人の彼氏に色目使わないでくれます？


お～い、誰か知らないか？机上に置いていた
書類が見当たらんのだが……


課長の机、稲瀬さんが朝掃除してましたよー？



ざわざわ



ざわざわ



ざわざわ




私の靴がない…………



おい、稲瀬遅れてくるな！！
何度言ったら分かるんだっ



靴がなくなったんです………



前もそう言ってたな？
わざとしてるのか？
体育が嫌いだからって甘えてるぞ





くすくすくすくす



くすくすくすくす



あははははは




止めて、お父さん！！
お母さん死んじゃうよ！



うるさいガキは黙ってろっ！
こいつのせいで上手く行かないんだっ



みなみ……逃げなさい……




お母さーんっ



逃げなさい………



早く、逃げなさい…………
















無数のアリのように、


不快な場面と言葉が蠢く。


現在も過去も全て混ざり合い、


それは足元から這い上がってきて


みなみは時々胸を掻きむしる。