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あんなこんなエロ短編集
第29章 鋼ーはがねー
私の目はまるで何も見てないように無機質だろう。



イケメンの社員を前にきゃあきゃあとはしゃぐ



女たちをぼんやり眺めた。



飯島ははしゃがれても照れたりせず、



「課長からお土産でいただいたんですよ」



と話している。



ふと顔を上げた。



目が合う。



「鷺沼(さぎぬま)さん!



是非食べてくださいね」



にっこりと笑い、



「では失礼します」と礼儀正しく一礼し、



飯島は部屋を出て行った。



突然声をかけられた私を女たちがちらりと見る。



そして何事もなく和菓子を机に置き、



「飯島さんやっぱ素敵だなぁ」
「彼女いるかどうか、あんた他の社員に聞いてよー」
「えっ、やだあんたが聞いてよっ」



などと戯れている。




道に転がる石のようだ。



私は再びパソコンに向かい、そう思う。



嫌われてはないが意識もされない。



ただそこにあるだけ。




三十路を3年過ぎても若い時となんら変わりない。



私は毎日在るだけだ。







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