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あんなこんなエロ短編集
第5章 みそかごと

依子は鍵師を呼んで開けたのである。
もう夫は戻らないだろうし、
興味も勝って。
すると、出てきたのはーーーーーー
「着いたわよっ!」
キキッと音がした。
ブレーキの音。
ガクンと体が揺れる。
娘は怒ると運転が荒くなる。
最近知った。
「ああ、ありがとうね」
杖を付いて降り、車に手を振った。
玄関を入って奥の座敷に行く。
金庫の前で座り、紙の束を手にした。
おびただしい数の春画。
明治中期から末期のものだと言われた。
『贋作で、沢山出回ったものだから価値はないです。』
鑑定士の男は抑揚のない声で告げた。
依子は顔を伏せて質屋を後にしたのだ。
夫が『死ぬまで開けるな』と言うから、
何が入っているのかと思ってみれば…………
着物のおんなが肩をはだけて科(しな)を作っている。
ちょんまげ男が裸のおんなを縛り上げている。
おんなの上に男が乗っている。
ーーーーーそんな絵ばかりだが、
どこかユーモラスで滑稽に見えた。
さて、どうしたものやら。
さっさと捨てれば良いのだけれど、
我が家の金庫に入っていたというのが気がかりで安易に
捨てられないのだ。
もう夫は戻らないだろうし、
興味も勝って。
すると、出てきたのはーーーーーー
「着いたわよっ!」
キキッと音がした。
ブレーキの音。
ガクンと体が揺れる。
娘は怒ると運転が荒くなる。
最近知った。
「ああ、ありがとうね」
杖を付いて降り、車に手を振った。
玄関を入って奥の座敷に行く。
金庫の前で座り、紙の束を手にした。
おびただしい数の春画。
明治中期から末期のものだと言われた。
『贋作で、沢山出回ったものだから価値はないです。』
鑑定士の男は抑揚のない声で告げた。
依子は顔を伏せて質屋を後にしたのだ。
夫が『死ぬまで開けるな』と言うから、
何が入っているのかと思ってみれば…………
着物のおんなが肩をはだけて科(しな)を作っている。
ちょんまげ男が裸のおんなを縛り上げている。
おんなの上に男が乗っている。
ーーーーーそんな絵ばかりだが、
どこかユーモラスで滑稽に見えた。
さて、どうしたものやら。
さっさと捨てれば良いのだけれど、
我が家の金庫に入っていたというのが気がかりで安易に
捨てられないのだ。

