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あんなこんなエロ短編集
第5章 みそかごと

鑑定士は有名どころに依頼したので目利きは
確かだ。
無駄なものだけ残ってしまう。
依子は春画を一枚ずつぼんやり見た。
夫は間もなく彼岸に渡るだろう。
父親らしくもなく、
もちろん祖父らしくもなかった安時。
当たり前だが夫らしくもなかった。
今の若者などは笑うかもしれないが、
まさに亭主関白で君主だったのだ。
酒を飲んで物に当たり娘など目に入らぬと
いった感じだったが、
唯一仕事だけは真面目に取り組み
この一戸建てを建てた。
依子は出会った時から敬愛し崇めたものだ。
依子と安時の間にも、
娘が娘婿と若き日に育んだようなーーー
灯理がおそらく現在特定の異性と育んでいる
ようなーーー
睦み合う時間があったのだ。
春画の男女は卑猥さはあまりなく。
笑いながら絡み合う絵もある。
(あなた………………………)
安時がこの世から消えてしまう。
急に実感が沸いて依子は肩を震わせた。
シンと静まり返った部屋。
突然春画がパラパラと宙に浮いた。
確かだ。
無駄なものだけ残ってしまう。
依子は春画を一枚ずつぼんやり見た。
夫は間もなく彼岸に渡るだろう。
父親らしくもなく、
もちろん祖父らしくもなかった安時。
当たり前だが夫らしくもなかった。
今の若者などは笑うかもしれないが、
まさに亭主関白で君主だったのだ。
酒を飲んで物に当たり娘など目に入らぬと
いった感じだったが、
唯一仕事だけは真面目に取り組み
この一戸建てを建てた。
依子は出会った時から敬愛し崇めたものだ。
依子と安時の間にも、
娘が娘婿と若き日に育んだようなーーー
灯理がおそらく現在特定の異性と育んでいる
ようなーーー
睦み合う時間があったのだ。
春画の男女は卑猥さはあまりなく。
笑いながら絡み合う絵もある。
(あなた………………………)
安時がこの世から消えてしまう。
急に実感が沸いて依子は肩を震わせた。
シンと静まり返った部屋。
突然春画がパラパラと宙に浮いた。

