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第12章 カノジョのカレ

「あれ？」



まりえは違和感を抱く。



………あんなに小狡くて皆にいい顔してる男子が、



真っ赤になってる…………




わたしもきっと………同じ顔。




それはこういうことだろうか。




「葉、わたしを好き？」



「…うっ……ここで訊くなよ………



つうか分かれよそのくらい！



誰が好きでもない異性のためにこんな薔薇抱えて歩く



かっ」




そうか。



わたしもだ………




好きでもない異性のためにあんなに走ったことはない。



誰のためにも、あんなに走ったことはなかった。



クールで自分を偽って、



上手く生きてるつもりのわたしたちが同じ顔をしてる。




「………葉、行こう」



わたしは葉の手を握った。



「わたしの家、行こう」