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王子様は、きらきら星の住人
第1章 壊れたきらきら星
「まっ……真由さん!」

 先生が焦っているのが声の調子でわかる。
 真由は、小さな手を限界までいっぱいに広げ、歪(いびつ)な音を激情のまま、ピアノにぶつけた。
 こんな乱暴ででたらめな弾きかたをしたことはなかった。
 ーーピアノにお話を聞かせるように弾くのよ?
 と、自分の娘に楽器を習わせるのが夢だった、という母にいつも言われていた。
 

(ごめんなさい、お母さん。今は、ピアノに優しくお話しするなんてできないよーー
 だって、とーた君がいない……
 一番にきらきら星を聴いて欲しいとーた君がいないんだものーー)

 真由の、もみじのような手の甲に、熱い涙が落ちる。
 その時だった。
 指で涙を拭い、ふと客席の方を見ると、一筋の細い光が射し込んだ。
 光はあっという間に大きく広がる。
 スポットライトよりも目映い白い光の中に、真由が待っていたひとが佇んでいた。

「ーーと……た……くん……」
 
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