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愛はいっぱい溢れてる
第2章 幸せのあしあと
ムックが亡くなった日。
美香子さんは朝ムックの耳掃除をしてあげた。
ムックの体も綺麗にしてあげたみたいだ。
雅人にも、「ムックいよいよかも……」と連絡が入る。
その時、雅人は会社員になっていた。
残業をしないで家路へと急いだ。
そして……
隆雄さんが帰るまで息を引き取るのを待っていたんだ。
最期は大好きな隆雄さんの腕の中で生涯を閉じたムック。
ーーー
ーー
ー
美香子さんは、ある日掃除をしていたら、ムックのカピカピになったウン○を発見。
今でも大事に箱に入れて取ってある。
「ムックはね、ソファの下にお菓子なんかも隠したの。
だから黴た饅頭が出てきたりしたのよ……」
どんなに食意地が張っていても、美香子さんの可愛い息子2だったムック。
玄関が開くと、「誰?お父さん(隆雄さん)?
ムック?雅人?」
と声を掛ける美香子さん。
「何故か俺よりムックの順位が上がってる((汗)」
と雅人は呆れて話したりもした。
私はムックの話を聞くと、幸せな気もちになる。
迷子になったのか?捨てられてしまったのかは定かではないが、この家族と巡り会えた。
ムックはちゃんと運を掴んだ強犬だ。
子育てが一段落してしまい、落ち着いてしまった家族の元にやって来て、ムックを通して会話が堪えなかったり、奮闘したり、笑ったりと幸せな時間を残していった。
そして今………
ムックより手強い孫がいる、隆雄さんと美香子さん。
親になった雅人。
私が娘の髪にリボンをつけてあげると、すぐに取る。
ムックも美容室でリボンをつけて貰っても、フローリングに擦りつけて取ってしまう。
「お前はムックか!」と娘に突っ込む。
忘れてないよ。ムック。
ふとした瞬間に思い出し、君の話をする家族の笑顔は、君がどんなに愛されていたのか?私にも伝わるから。
因みに雅人はゴマ油が嫌いだ。
理由は、ムックのオシッコの匂いを思い出すらしい。
鬼嫁の赤名はナムルが好きだ。
ゴマ油上等とばかりに、懲りずにナムルを食卓に出すよ(笑)
おわり