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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第10章 父親との会話
だが、その日は父親から返事がくることはなかった。

やっぱりオレの事は忘れたいのだろうか、無視されたと思った。



そしてようやく待ちに待った卒業式を迎えた。

ようやくこれで自由になれる、オレは周りが泣いている連中を尻目に義務教育から解放される喜びと、母親の下から離れられる喜びでワクワクした。

卒業式が終わり、オレは真っ先に例の高校の裏にあるワンルームマンションの入居の手続きをするため、不動産を訪れた。

だが、オレはまだ15才、保証人が必要だと言われ、入居は出来ないと言われた。

保証人がいるなんてそんなことは知らなかった。

そして一か八かでオレは父親に電話してみた。

果たして電話に出てくれるだろうか。
心臓はバクバクしながら電話に出てくれるのを期待した。

【はい、もしもし】

出た!父親だ!

「あ、あのもしもし、えっとオレ亮輔です。覚えてますか?」

【…】

父親は無言だった。

「あ、あのこの番号、家の母の棚を調べて見つけました。オレどうしてもお父さんやアニキと会ってみたくて、電話しました。
勿論この事は母には知らせてません」

【…そうか。ところで今いくつになった?】

「今日中学を卒業しました。来月から高校生になります」

【そうか、もうそんな年になるのか。早いもんだな、生まれたばかりのお前がもう高校生か…】

「は、はい…あのもし、もし迷惑じゃなかったら、是非会いたいのですが。母には内緒で…」

オレはいつの間にか涙を流していた。

「お願いです、是非会ってください」

【…この事は母さんには内緒にしてくれるな?】

「は、はい、勿論です」

【じゃあ時間を作ろう。いつがいい?】

「あ、あのオレはもう高校入学式まで休みなんで、いつでも大丈夫です」

【そうか。じゃあ明日、仕事が終わったら近くの駅前で待ち合わせしよう】

「あ、ありがとうございます!では明日待ってます」

そう言って電話を切った。

オレは父親と話が出来たということで涙が溢れてきた。

後は今の気持ちを全部父親にぶつけてみよう。

とにかく一歩前進だ。
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