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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第11章 父の顔
「どうだ、生活の方は?」

父親は肉を焼きながらオレの普段の生活を聞いていた。

どうしよう、話すべきか…母親との情事を話したらどんな顔をするのだろうか。

「何だ、何かあったのか?」

父親はオレの表情を見て何かを察したようだ。

「何せあの母親だからな。お前のその思い詰めた顔で何かあったのかは大体想像できる」

よし、言うしかない。オレはこの中学時代に起きた母親との許されぬ近親相姦の事を話した。

「…そうか。で、卒業を機にお前は母さんの下から離れるってワケか」

肉を裏返しに焼きながらオレの話に耳を傾けた。

「今さら一緒に住みたいなんて贅沢な事は言いません。オレは高校の裏にあるワンルームのマンションで1人で暮らしたいんです。でもそれには保証人が必要で。金なら当面の家賃や生活費は何とかなります。お願いです、保証人になってもらえませんか?」

オレは必死で頭を下げた。

「一人暮らしったって何から何まで自分でやらなきゃなんないんだぞ?お前にそれが出きるのか?」

あくまで諭すように父親はオレに聞いた。

「それなら小学生の頃から掃除洗濯、料理も1人でやってきました。母親はいつも朝方に帰って来て、家事は一切やらなかったので、仕方なしに覚えるようになりました」

父親はなんとも言えない、やるせない顔を浮かべた。

「それなら家に来るか?ちょうど達也、お前の兄なんだが、この春から大学生になって一人暮らしを始めたんだ。オレも今1人でな。だから一緒に住まないか?」

「いや、でも学校に通える場所ならいいんですが…」

「どこの高校に入ったんだ?」

「家の近くにある公立の高校で、歩いても20分ぐらいの距離ですが」

「そうか。まぁ少しは遠くなるが、家に来たらどうだ?ここからそんなに離れてない場所に家がある。高校までは電車に乗って30分もかからない場所だぞ。そっから通った方がいいんじゃないのか?」

オレは考えた。父親に甘えていいのだろうか?やっぱりここは一人暮らしをするべきなのだろうか。

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