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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第129章 ナツの忌まわしき過去

「だからすごいショックだった…それ以来、事ある毎にわたしを…」
「…」
オレは何も言える立場じゃない。
最初はイヤでイヤで仕方なかったが、母親より妖艶でテクニックのある女は風俗にもいなかった。
だからオレは風俗通いを止め、彼女すら作らずにこの年まで独り身だ。
「でね、卒業間近にまたいつものように私を求めてきたの。
その時、私、護身用にナイフを持ってたの…しかもいつも枕元に置いて。
で、父が私の布団に入ってきた時に揉み合って、私は持ってたナイフで刺してしまったの…
刺したというか、揉み合ってる最中に刺さってしまったっていう感じで…」
父親を刺したのか。まぁ、オレがそういうシチュエーションなら、どうしただろうか?
中学の時はイヤで仕方なかった。
殺してやろうかとも思った。
だが、出来なかった。
殺意より快楽の方が上回ったからだ。
「で、父親はどうなったの?」
「幸い命はとりとめたけど、私は殺人未遂の容疑で…だけど正当防衛だと認められた時は少し経ってからだから、卒業間近で高校を退学させられたの」
…悲惨な人生を歩んできたのか。
「私は北海道の出身だから、正当防衛が認められた時、すぐに北海道から上京したの。とにかく父から離れたかった。
それに近所の目もあったし」
それでキャバ嬢やってるってワケか。
「後、もう1つ、私には年の離れたお姉ちゃんがいて、そのお姉ちゃんを探しに上京したんだけどね」
「そのお姉ちゃんは東京で何してたの?」
「その頃は高校の教師をしてたんだけどね。実はお姉ちゃんが生まれた頃、今で言うデキ婚らしくて、お互い貧乏で育てられないって事で、児童養護施設って言うのかな?高校を卒業するまでそこにいたらしいのよね」
(高校教師で施設で育てられた過去を持つ。…まさか鴨志田?いや、そんな偶然はないだろう)
オレはナツの話を黙って聞いていた。

