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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第179章 韓国料理より納豆…
オアシスねぇ…この寂れた感じの店が好きなのか。

「あい、お待ちどう様」

女将は栓を抜いた瓶ビールとグラスを2つカウンターに置いた。

「ほら、達也」

ソンヒョクはビールを持って達也のグラスに注いだ。

「…あ、じゃあソンヒョク」

お返しに達也はソンヒョクのグラスにビールを注ぐ。

「じゃ、お疲れさん!乾杯」

「…あ、あぁ、乾杯」

カチッとグラスを鳴らし、ソンヒョクはグーっと一気にグラスのビールを飲み干した。

「…早いな、じゃあもう一杯」

達也は空になったグラスに注ごうとしたが、ソンヒョクは手で制した。

「オレは一杯までと決めてんだ。残りはお前が飲め」

「…はぁ」

これがついさっきまで所要時間僅か1秒、いやコンマ何秒の速さで人を仕留めた人間の顔なのか?

あまりの変わりように達也は戸惑うばかりだ。

「あいよ~、ソンちゃん!いつものヤツね」

「おおっ、来た来た!美味そうだな!」

ソンヒョクの目の前に置かれた定食は、サンマの塩焼き、納豆、冷奴に漬け物とワカメの味噌汁。ご飯は山盛りだ。

「…ソンヒョク、それ納豆じゃんか。大丈夫なのか?」

納豆を嫌う外国人は多い、ましてやソンヒョクはコリアンタウンの貧民街に住んでるにも関わらず、韓国料理より、日本人が食べる定食を好んでいる。

「何言ってんだ、納豆美味いじゃないか、なぁ、オバチャン?」

奥で達也のさばの味噌煮定食を作っている女将に声をかけた。

「ねぇ、ホント、ソンちゃんは納豆好きだもんね」

「そうだよ、オバチャン。オレはここで飯食うのが1番の楽しみなんだ。だからいつまでも元気でいてくれよ」

(何だこのやりとりは?)
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