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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第8章 スコーピオの女 情欲の章
「男って、とりあえずイかせたら大人しくなるじゃない」

「やっぱり苦労したんだな……」
「お互いさまでしょ」

「え、いや、まあ」

「でも、あっちの方は心配しなくても大丈夫よ。いい先生を見つけたの。
表向きはアーユルヴェーダと整体の先生なんだけど、実はカーマスートラの達人なのよ。
そもそも彼、身体の機能は治ってるらしいもの」

「な、なんかすごそうだな」

「きっとセックスのプロフェッショナルね。ほしきにもその先生の居所教えといてあげる。どうも一か所で長く診ないらしのよねえ」


 麻耶の話を聞きながら、自分の『セックス鑑定』についてぼんやりと思いを馳せた。

 観ることはできても、治せはしない。

「ほしき。ありがとう」

 考え込みそうになったとき、麻耶のクリアな声が聞こえた。

「ごめん。もっとちゃんと観ればよかった。麻耶の事」

「ううん。十分見てくれてたわよ。――なに? 初めての男だからって責任感じなくていいわよ」

「ん。ありがと」
「ほしきにも最後の女が現れますように」


 一撃で仕留める毒を持つ蠍は、普段はひっそり息をひそめて生きている。常に毒を振りまいているわけではないのに見ただけで、存在していると思っただけで、恐怖を感じる。

 麻耶の、情欲をあおるような催淫剤におびき寄せられる男たちは、本当は彼女の魂の奥にある深い愛に触れたいからかもしれない。
 麻耶を目の前にすると心より先に身体が反応してしまうだけなのだ。――男は作りが単純だからな。
 
 しかしあの柏木と言う男が唯一、麻耶の愛を、至宝を手に入れるのだ。
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