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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第9章 サジタリアスの女 飛翔の章
 家に上げると、彼女は好奇心いっぱいの様子で部屋の中を見まわしている。

「そこへどうぞ」
「あ、はい」

 コーヒーを淹れ彼女に差し出すと、香りを吸い込みリラックスした様子でカップに口をつけた。

「いいところですねえ。おうちもロケーションも。あなたはなにをなさってる方なんですか?」
「ああ。名刺をいただいていたのに僕の方は自己紹介も何もしてなかったですね」

 名刺を渡すと面白そうに眺めている。

「へー。面白ーい。なんだか普通のお仕事じゃないだろなあとは思ってました。スーツ姿すてきですね」
「いつもお会いするときはジャージですからね」

「星かー。ここは星空も綺麗でしょうね」
「ええ。町中より大きく多く星座が見えますよ。流星群もよく見えるしね」
「いいなあ」

「星の写真って撮ったりするんですか?」
「いいえ。星とか夜空はなぜか撮らないですね。見上げて眺めるだけ」
「そうなんだ」

「きっと宇宙はいつも変わらなくて自然は今の瞬間を逃したらもう出会えないって感じるからなんだと思います」
「なるほど」

 若菜と話しているととても楽しく、気が付くと夕暮れになっていた。

「いっけなーい。こんなに遅くまでお邪魔しちゃった!」
「送りますよ」
「いえ。ほんの近くに車を停めてますから。ごちそうさまでした」
「じゃ、気を付けて。また良かったらお茶しましょう」

 久しぶりに肩の力が抜ける会話でリラックスした僕はその夜、彼女の生まれ星座である射手座を眺めた。
まだよく見える時期だ。

 若菜はとても率直で物おじせず哲学的でもある。射手座らしくマイペースそうなところが気を使わなくて済む。
 いい友人になれるかもしれないと思いながら、穏やかな眠りについた。
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