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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第4章 キャンサーの女 母性の章
 先ほどの情事が嘘のように、爽やかな笑顔で優香は服装を正し、冷えた瓶ビールを持ってきた。
綺麗に磨かれたグラスになみなみと注ぎ乾杯した。


「乾杯」
「乾杯」


 障子の隙間から窓を眺めると、冴えわたった夜空に大きな十三夜の月が出ていた。満月になる前の美しい月。
もうすぐ完成される希望に満ちた優香を見る様だ。

「綺麗ですね」
「ん」
「緋月さん、本当にありがとう」
「お礼を言うのはこっちだよ。なんだか少年時代から卒業するような気分だ」
「ふふ。卒業証書差し上げたい」
「女将からもらえると自信が付きそうだよ」

「あら、緋月さんは自信がないんですか? とても落ち着いていて、大人の男性なのに」
「そう言ってもらえたらうれしいけど、歳ばっかりくってるだけさ」

 優香の三日月のような優しい眉が死んだ母親とかぶった。

「じゃ、まだまだ成長期なんですね。これからが楽しみ。――ますますの活躍を祈っています」

 声も母とかぶり、僕は胸が詰まった。――ありがとう。さようなら。

 感傷的になるのを堪えてビールを飲み干し、グラスを置いた。そして二人でしばらく空の月を眺めた。
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