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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第5章 レオの女 権力の章
 占い講座を終えて帰宅しようとすると、受付窓口から事務の沢井莉菜に呼び止められた。

「緋月先生。理事長が少し顔を見せてほしいとおっしゃってました」
「ありがとう。沢井さん、そのフープピアス。可愛いね。よく似合ってるよ」
「えへっ。先生の占いコーナーでラッキーアイテムがピアスって書いてあったから、買っちゃったの」
「よく読んでくれてるんだね。輪っかだから縁結びにもいいと思うよ」

 勤労年数は浅いが人懐っこい沢井莉菜は、僕に気さくに声を掛けてくるので一言二言雑談を交わす仲だ。

「えー、ほんとですかあ。だったらいいなあ。あ、そうそう。理事長室にお孫さんの麗子さんもいらっしゃいましたよ。先生、気を付けてね」
「そっかあ。ありがと。じゃあお疲れ様」
「失礼します」

 出口から踵を返し、理事長室に向かった。――麗子さんがいるのか……。

 足取りが少し重くなる。理事長の獅童玄治郎は、僕が昔師事していた占星術の大家、紅月蘭子の元恋人だ。
僕が師事しているころには二人はすでに別れており、別々の人生を歩み友人として付き合っていた。

 紅月蘭子は占星術家として最後に僕を育て亡くなった。そして華やかな活躍の場から離れふらついていた頃に、獅童玄治郎から経営しているスクールの講師にと誘われた。
なんとかこの世界で食べていけるのも彼のおかげだろう。
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