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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第1章 アリエスの女 始まりの章
僕が占星術界の第一線から退いたのも、そのことが大きな理由だった。
十年前、僕はラジオの深夜番組を持っていた。リスナーの女性の性の悩みに答えるという内容はかなりきわどかった。
大抵は夫とのセックスレスに悩むことへのアドヴァイスだったが、ある一人の女性が、僕との性交渉で不感症が治ったと雑誌に吹聴し、噂の一人歩きが僕を性の伝道者のように祭り上げてしまった。
全くのでたらめだったが人気の絶頂だった僕への、同業者からのやっかみなども手伝い、相談者を食い散らかすとまで業界で囁かれるようになってしまった。
そうなってやっと僕は自分が占星術家の道から外れてきていることに気づき、痛手をこうむりながらも完全に星から離れることが出来ず、今に至っている。
「この前、実家の片付けを手伝ったんです。その時にすごく古い週刊誌が出てきて表紙に『緋月星樹のセックス鑑定』って書かれてあったから読んだんです」
「事実無根なんだ」
「ええ。先生がそんなことしないのは分かってます。だけど出来るんじゃないんですか?この……セックス鑑定」
「できなくはないと思うけどね。そういうことはしない方がいい。第一、君は今好きな男がいてその彼とうまくいきたいんだろう?」
「そうですけど。まだ付き合ってるわけじゃないですし。鑑定としてお願いしてるんです。ワタシを抱いて鑑定してもらえませんか?」
「だめだめ。もう今日は帰りなさい。またスクールで」
強固な態度に彼女はあきらめの表情を見せたが「またお願いに上がります」と強い意志を眉頭にこめて席を立った。
彼女の速い赤い車を見送って僕はため息をついた。――諦めてくれればいいのだけれど。
十年前、僕はラジオの深夜番組を持っていた。リスナーの女性の性の悩みに答えるという内容はかなりきわどかった。
大抵は夫とのセックスレスに悩むことへのアドヴァイスだったが、ある一人の女性が、僕との性交渉で不感症が治ったと雑誌に吹聴し、噂の一人歩きが僕を性の伝道者のように祭り上げてしまった。
全くのでたらめだったが人気の絶頂だった僕への、同業者からのやっかみなども手伝い、相談者を食い散らかすとまで業界で囁かれるようになってしまった。
そうなってやっと僕は自分が占星術家の道から外れてきていることに気づき、痛手をこうむりながらも完全に星から離れることが出来ず、今に至っている。
「この前、実家の片付けを手伝ったんです。その時にすごく古い週刊誌が出てきて表紙に『緋月星樹のセックス鑑定』って書かれてあったから読んだんです」
「事実無根なんだ」
「ええ。先生がそんなことしないのは分かってます。だけど出来るんじゃないんですか?この……セックス鑑定」
「できなくはないと思うけどね。そういうことはしない方がいい。第一、君は今好きな男がいてその彼とうまくいきたいんだろう?」
「そうですけど。まだ付き合ってるわけじゃないですし。鑑定としてお願いしてるんです。ワタシを抱いて鑑定してもらえませんか?」
「だめだめ。もう今日は帰りなさい。またスクールで」
強固な態度に彼女はあきらめの表情を見せたが「またお願いに上がります」と強い意志を眉頭にこめて席を立った。
彼女の速い赤い車を見送って僕はため息をついた。――諦めてくれればいいのだけれど。