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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第8章 スコーピオの女 情欲の章
「ほしき!」

 信号待ちをしていると窓をコツコツと叩き、許可もなく女が車に乗り込んできた。

「麻耶!」

「青よ」

「あ、ああ」

 慌てて発進させちらっと助手席を見た。
彼女は僕が高校生の時に初めて付き合った女、佐曽利麻耶だ。

「何年振り? ほしきって変わってなかったからすぐわかった」

「麻耶も変わらないな」

「ええ~。ほんとかな。嬉しいけど」

 二十年近くぶりにもかかわらず、麻耶は高校生の頃と大した変わりがなかった。
当時の彼女が高校生にしては完成された大人の妖艶さを持ち、怪しい魅力を放っていたからかもしれない。
 昔と変わらず漆黒の長いストレートの髪は艶やかで、濃いまつ毛にふちどられた切れ長のアーモンド形の瞳は男を魅了し続けているだろう。

 麻耶が乗ると、車内は湿り気を帯びた洞窟の様に感じられる。息苦しさを感じて少し窓を開け初夏の風を入れた。

「ほしきは占いの先生やってるんでしょ」
「うん。よく知ってるね」

「有名じゃない。同級生ならだいたい知ってると思うけど」
「そうかな。麻耶はどうしてるの? 結婚とか」

「ふふ。今はねえ……。愛人」
「え? 愛人?」

「そうよ。あたしらしいでしょ」

 ため息をついていると「そこ入って」とファミリーレストランを指さした。昔から逆らえないこの麻耶の言うとおりに店に車を止めた。

「忙しいの?」

「いや……」
「久しぶりに会ったんだからさ。お茶でもしよ? ね」

 拒めないまま店内に入る。ちょうどランチタイムは過ぎたころで空席を多く騒がしくはなかった。
特にメニューを眺めることもなく、二人でコーヒーを注文する。

「ほしきってば、さすがに落ち着いた大人って感じになったわね」
「オジサンってことだよ」

「ふふふ。あたしが目をつけてただけあって、いい男になってるじゃない。結婚してないの?」

「縁がなくてね」
「ええ~。そんなこと言っちゃって。まだまだあんたは自分に夢中ってことね」

 分かり切ったように言われて、軽くカチンときたが案外図星かもしれない。

「そっちこそ、愛人なんて……。なにをやってるんだ」

「ふふ。元カノが心配?」
「まさか!」

 ついつい、若かったころの自分に戻ったような気がしてエキサイトしてしまう。
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