この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お兄ちゃんといっしょ
第11章 第11章
…いっそ、逃げ出してしまおうか。
誰かに囁かれたかのように、突如として悪知恵が働く。
…ベッドからドアまで、5メートルもないだろう。
入室した際、ひふみっくすは鍵をかけなかった。
今ならひふみっくすは寝転んでいるから、隙を見て全速力で駆け出せば、逃げ切れるかも知れない。
だって、ひふみっくすは上半身裸なのだ。
本来のチェックイン時間がまだということは、周りの部屋はまだ清掃中…清掃員がいる可能性が高い。
私を追いかけて飛び出してきたところで、周りの目を気にしてフロントまで深追いすることはないだろう。
生唾をごくりと飲み込む。
心臓の音が全身に響いてる。
お金はもう、もらった。
お金は…。
楽しそうに私を見つめるひふみっくすを見つめ返しながら、ゆっくり片足を床につける。
ベッドが軋む。
ゆっくり、もう片方の足を下ろしていく。
ゆっくりと…
その時、シーツとフレアスカートが擦れ、かさかさと音が鳴った。
ポケットの中で、さっきひふみっくすから受け取った二枚のお札が擦れたのだ。
その音はまるで、私が前まで肌身はなさず持ち歩いていた紙袋の音のようだった。
誰かに囁かれたかのように、突如として悪知恵が働く。
…ベッドからドアまで、5メートルもないだろう。
入室した際、ひふみっくすは鍵をかけなかった。
今ならひふみっくすは寝転んでいるから、隙を見て全速力で駆け出せば、逃げ切れるかも知れない。
だって、ひふみっくすは上半身裸なのだ。
本来のチェックイン時間がまだということは、周りの部屋はまだ清掃中…清掃員がいる可能性が高い。
私を追いかけて飛び出してきたところで、周りの目を気にしてフロントまで深追いすることはないだろう。
生唾をごくりと飲み込む。
心臓の音が全身に響いてる。
お金はもう、もらった。
お金は…。
楽しそうに私を見つめるひふみっくすを見つめ返しながら、ゆっくり片足を床につける。
ベッドが軋む。
ゆっくり、もう片方の足を下ろしていく。
ゆっくりと…
その時、シーツとフレアスカートが擦れ、かさかさと音が鳴った。
ポケットの中で、さっきひふみっくすから受け取った二枚のお札が擦れたのだ。
その音はまるで、私が前まで肌身はなさず持ち歩いていた紙袋の音のようだった。