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お兄ちゃんといっしょ
第3章 第3章
 鼻を鳴らす音が、部屋の隅っこから聴こえてくる。

 お兄ちゃんは「嗜好品」を吸うとき、ライターを使う。
 ライターでアルミ箔を炙って、筒のようなもので何かを吸うのだ。
 

 嗜好品を吸うとき、お兄ちゃんは決まって私にアニメのDVDを観せる。


 テレビ画面のほうを向かせることで、嗜好品を吸っている姿を私に見せずに済むはずだ、と、お兄ちゃんは考えているのだろう。


 部屋の隅っこ、布団の端っこ、つまりこの家の一番隅っこ。
 そこから漂ってくる熱気が私の背中をじっとり湿らせる。

 時々こっそり振り向くと、決まってお兄ちゃんは壁に向かって胡座の姿勢で俯いて座り「嗜好品をタイミング良く吸い込むこと」に熱中しているところだ。
 お兄ちゃんいわく、タイミングを外すと“酔えない”らしい。
 

 お兄ちゃんの背中にも汗がじっとり浮かんで、皮膚が濡れて光っている。

 お兄ちゃんの背中は入れ墨のせいで、まるで趣味の悪い洋服を着ているみたいだ。

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