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お兄ちゃんといっしょ
第15章 第15章
 いつからお兄ちゃんの車は、魚の臭いがしなくなったんだろう。
 揺れる車内で、私はそんなことをふと考えた。





 スマホのアプリから流れる音楽を聴きながら、鼻歌混じりに車をマンションに走らせているお兄ちゃんの顔を、私はフロントミラー越しに見つめている。
 後部座席で死んだように横たわりながら。

 
 お兄ちゃんは上機嫌だ。
 もしかしたら私の処女は、市場で働いていた頃のお給料一か月分くらいの…いいや、それよりも多い“売り上げ”になったんだろうか。
 


 これでもう、お兄ちゃんは不安で夜眠れなくなることはないだろう。



 これでもう、お兄ちゃん以外の人とセックスしなくてもいいんだろう。



 これでもう、私はお兄ちゃんだけのものになれるんだ。



 キスは、誠太郎に奪われてしまったけれど・・・・・。





「大丈夫?」



 時々、お兄ちゃんは優しい口調で私にそう尋ねる。



 私は知らなかった。
 本当に疲れてるときって、声すら出ないんだってことを。



 さっき、ホテルからどうやって誠太郎と歩いて出てきたんだろう、と自分で不思議に思うくらい、全身疲労感に満ちていた。



 それに、何度も執拗にぶたれた頬が今さらになって酷く痛むし、おまんこなんてもう、心臓の鼓動と共に痛みが全身に広がる有様。




 こんな身体の状態で、よくも誠太郎のおちんこでイクことが出来たよな・・・




 なんて、呆然と考えてしまうほどだった。



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