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お兄ちゃんといっしょ
第16章 第16章
 文字通り腫れ物に触るような仕草で濡れた股間をトイレットペーパーで拭う。
 あまりの痛みで無意識に声が漏れた。

 
 這うようにしてトイレから出る。
 全身が痛い。
 昨夜のことはもう、思い出したくない。
 もうなにも、考えたくない。



 ―――お兄ちゃんは、嗜好品をどこに隠しているんだろう。



 そんな考えが脳裏を過ぎる。




 身体は死ぬほど疲れているのに、もう二度と眠ることができないのではないかと思うくらい、目が覚めている。
 お兄ちゃんがあれを吸うときも、こんな状態なのだろうか。
 お兄ちゃんは、いま、どんな夢をみているのだろう。
 昨晩もあれを吸ったのだろうか・・・・・。
 あれは、どんな味なんだろう・・・・・。

 


 けれど。
 考えてみたところで、今の私には探し物をする気力なんてなかった。

 代わりにキッチンのシンクに放置された山盛りの灰皿の隣に出しっぱなしになっていた煙草の箱とライターを手にして、毛虫が這うような速度でベランダに向かった。


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