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お兄ちゃんといっしょ
第16章 第16章
 カーテンの内側に身体を滑り込ませ、なるべく物音を立てないようにして、ベランダの窓を開ける。


 明け方だというのに、すでに風は生暖かく湿っていた。
 カレンダーは今週から7月に入るらしい。
 向かいのマンションと民家の間から朝日が顔を覗かせている。
 いま、何時くらいなんだろう。
 考えながら煙草を1本取り出して唇にはさみ、不慣れなライターに格闘しながらやっとの思いで火をつける。
 口の中に煙を吸い込み、ハァと吐き出した。
 上手く吸えているのかどうかすら、分からない。


 この煙草を吸い終わったら。
 お兄ちゃんのあとにシャワーを浴びたら。


 …今日も一日がはじまる。


 金をつくるために…


 なんとかして自分で、昨日の避妊薬の代金を稼いでこなきゃいけない一日が。






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