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お兄ちゃんといっしょ
第19章 第19章
 ハッと目が覚めたとき、
 真っ先に視界に飛び込んできたのは、大きい背中だった。
 腕と首筋が真っ黒に日焼けした、筋肉質な分厚い背中。
 それが遥輝の背中だと気付くのに、あまり時間はかからなかった。
 なぜなら遥輝がすぐにこちらを振り返り、



「あ、起きた」



 と、黒縁メガネの奥のキッチリ一重で私を見つめて言ったからだ。



「さっきはごめんな」


 
 遥輝のうしろから、永翔が顔を出した。
 意味が分からず首を動かすと、額に冷えピタが貼られていることに気が付いた。



「途中で失神するから死んだのかなって焦ったよ」

「体調悪かったのに無理させてごめんな」

「奈々ちゃんがあんまりエロいから、我慢できなかったんだ」



 その時私はようやく、意味が理解できた。
 そして、途端に不安になる。



「お金は…?」



 二人は顔を見合わせ、永翔が黙ってなにかを差し出した。
 受け取ると、千円札だった。
 3枚。


 とっさに遥輝のほうを見る。
 すると遥輝は「俺はまだいれてないもん」と悪びれる様子もなく語った。



 絶望的な気分だった。



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