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お兄ちゃんといっしょ
第21章 第21章
 私立高校に通う3年生の男子生徒が市内のおかきメーカーの工場ビルから飛び降り自殺したニュースが、テレビ画面から流れている。


「おかき屋にしちゃ、いい迷惑だろうな」


 マンションに帰ってきたときにはすでに、おかきメーカーの工場は稼働し、通りに香ばしい匂いを漂わせていた。


 男子生徒が死んだ場所にはまだ生々しい血痕のあとが残っていて、花が手向けられているにも関わらず、だ。



「おかき屋と、死んだヤツは全くの無関係で、たぶん開いてた窓の隙間から侵入したんじゃないかってさ」


 
 マンションには、朝6時半過ぎの電車に乗って帰宅した。



「ちなみに、死んだヤツの通ってた私立高校って、中高一貫でさ。ここらの男女共学の私学の中では一番頭いいはずだぜ」



 遥輝と永翔はあのあと、朝練を頑張れたのだろうか。
 カーテンの外を見つめながら、そんなことを漠然と考えた。



「なんてったって、兄ちゃんの母校なんだからな」



 永翔から受け取った3千円と、
 遥輝から受け取った1万7千円。
 合計2万円をキッチリ返済した私に対して上機嫌になり、思い切り抱き締めてもらったあとの…



 冷めていく余韻のような感覚で、お兄ちゃんの話を聞きながら。


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