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お兄ちゃんといっしょ
第21章 第21章
「中学受験…なつかしいなぁ。
小学4年生のときから受験が終わるまで、
1時間かけて電車に乗って塾に行ってたんだ。
俺もヒトのことは言えないけど、こりゃ親もたまったもんじゃないだろうな。
今まで何百万もソイツのために金つかってきたのに、死なれたんじゃ、」
「ねぇ」
室内はエアコンがついていた。
一昨日まで窓を開けて寝ていたのに。
遥輝の首元に浮かんだ汗を思い出す。
「私がそのお金、どうやって稼いできたか、聞かないの」
お兄ちゃんのほうを見る。
パソコンをいじりながら煙草をふかす、いつもの入れ墨の背中。
短い襟足。
「うふ」
お兄ちゃんは私を、振り向きもしない。
「聞いて欲しいの?」
誠太郎のときは、あんなに熱っぽく私を求めたのに…
一晩家を空けているあいだに、お兄ちゃんはもとのお兄ちゃんに戻ってしまったみたいだった。
私をほんの少し抱き締めただけで、キスすらしてくれなかったのだから。
「うん」
素直に頷くと、お兄ちゃんは、
「女って、なんでいつも、クソみてーにどーでもいい話ばっかしたがんだろ」
と、低い声で言った。
小学4年生のときから受験が終わるまで、
1時間かけて電車に乗って塾に行ってたんだ。
俺もヒトのことは言えないけど、こりゃ親もたまったもんじゃないだろうな。
今まで何百万もソイツのために金つかってきたのに、死なれたんじゃ、」
「ねぇ」
室内はエアコンがついていた。
一昨日まで窓を開けて寝ていたのに。
遥輝の首元に浮かんだ汗を思い出す。
「私がそのお金、どうやって稼いできたか、聞かないの」
お兄ちゃんのほうを見る。
パソコンをいじりながら煙草をふかす、いつもの入れ墨の背中。
短い襟足。
「うふ」
お兄ちゃんは私を、振り向きもしない。
「聞いて欲しいの?」
誠太郎のときは、あんなに熱っぽく私を求めたのに…
一晩家を空けているあいだに、お兄ちゃんはもとのお兄ちゃんに戻ってしまったみたいだった。
私をほんの少し抱き締めただけで、キスすらしてくれなかったのだから。
「うん」
素直に頷くと、お兄ちゃんは、
「女って、なんでいつも、クソみてーにどーでもいい話ばっかしたがんだろ」
と、低い声で言った。