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お兄ちゃんといっしょ
第22章 第22章
 前と同じ花壇に座って、コンビニのほうを見つめる。
 永翔と遥輝がまた現れないかと、期待しながら。


 あの日よりも暑かった。
 自販機でスポーツドリンクを買って飲んだ。
 2本もだ。


 5時間くらいは、待っただろうか。


 だからコンビニの奥の商店街のほうから、見覚えのある白いルイガノが見えたとき、私は嬉しいというよりほっとした。


 遥輝がすぐに、花壇を…
 私の方を見たからだ。


 今日は永翔の姿はなかった。
 遥輝は紺色のTシャツに黒のハーフパンツ姿で、重たそうなリュックを背負っていた。
 ゆっくり、私の方に近付いてくる。
 ハーフパンツから露出したごついふくらはぎが眩しかった。



「奈々ちゃん?」



 花壇に腰掛ける私の目の前で、遥輝はブレーキをかけた。
 ルイガノに跨ったまま黒縁メガネを押し上げ、袖で汗を拭いながら、遥輝は言った。



「…なんか、今日は会える気がしてた」


 
 遥輝は笑いながらスタンドを立て、あの時とは違い、私の隣に腰掛けた。



「今日はなんか、雰囲気ちがうじゃん」



 遥輝の横顔は笑ってた。
 少なくとも拒まれてはいないようだ。
 私は遥輝の腕にくっつき、大きな手を握った。



「あの時がやばかっただけで…いつもはこんな感じ」



 そう言った私の手を、遥輝が力強く握り返した。


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