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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
 二本目のアニメ映画を観ている。
 お兄ちゃんはディズニーの映画を選んだ。
 何年か前とても流行った、主題歌が有名なヤツだ。
 お兄ちゃんと暮らし始めてすぐ、観たことがないから観たいと言うと、翌日には用意してくれていた。
 ちゃんとお金を払ったのかどうかまでは…分からない。

 
 コンピューターグラフィックで描かれたプリンセスが2人、雪の世界で踊っている場面を観ながら、ふと思った。

 
 思えば、この半年間、ずっとこんな暮らしをしているな、と。


 今日のように学校を休むことは珍しくない。
 というか、休むことのほうが多い。

 転校先の小学校は、前の小学校よりは居心地が良い。
 でも、お兄ちゃんといるときほどは、楽しくない。

 学校には週に2日登校したらいいほうだ。
 もちろんお兄ちゃんはその件に関してとやかく言うことはない。
 その代わり、私の将来を心配することもない。
 自由とは、そういうものだろう。


 時折DVDの音声に混じって、いびきが聴こえてくる。

 嗜好品を吸ったあとに眠ると、お兄ちゃんはたいていいびきをかく。

 いびきのするほうを見ると、お兄ちゃんがボクサーパンツ中に手を突っ込み、口を開けて熟睡しているところだった。
 腹筋の割れた腹が上下に動いている。
 臍の下から一直線に伸びる濃く太い体毛は、同じように黒黒と生い茂った陰毛に続いている。
 チリチリ波打った、ふさふさの陰毛に。


 ふと見れば、汗でじっとり湿った腋毛が閉じた脇からはみ出しているのが見える。
 その様子はなぜか陰毛を思い出させ、やけに卑猥に見えた。

 お兄ちゃんに刺激された身体は火照ったままだ。

 そっと近付き、お兄ちゃんの腕を持ち上げる。
 完全に脱力したそれは、私にはとても重たく感じる。
 開いた脇に鼻先を近付け、匂いを嗅ぐ。
 蒸した汗の甘い匂いがした。
 

 お兄ちゃんの匂いで、火照った身体がさらに疼く。
 ここまできて、どうして何もしてこないのだろうと苛立ちを覚えるほど、強く。


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