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お兄ちゃんといっしょ
第25章 第25章
もしかしたら心が満たされることなんて、どんな人生を歩んでも、ない人には一生ないことなのかも知れない。
そんな風に思ったのは、カラオケを出て、遥輝と駅に向かって歩いていたとき。
バスロータリーに、黒塗りのアルファードが停車しているのを見つけた時だ。
「こんちは」
アルファードから降りてきて、遥輝に向かってにこやかに挨拶をするお兄ちゃんが不思議だった。
お兄ちゃんは半袖のTシャツを着ていた。
道行く人がお兄ちゃんの腕を凝視している。
もちろん、遥輝もその一人だ。
「あれだれ」
「私のお兄ちゃん」
「マジで」
「…とりあえず逃げたほうがいいよ」
遥輝を見上げると、遥輝は同じように私を見下ろし、小声で「ですよね」と返した。
しかしお兄ちゃんは、
「待て待て待て、なんもしないって。
俺、コイツの兄貴だよ、ホントになんもしない」
と、誠太郎のときとは違い、サングラスもかけていない頭髪もボサボサの素顔のままで私達を手招きした。
そんな風に思ったのは、カラオケを出て、遥輝と駅に向かって歩いていたとき。
バスロータリーに、黒塗りのアルファードが停車しているのを見つけた時だ。
「こんちは」
アルファードから降りてきて、遥輝に向かってにこやかに挨拶をするお兄ちゃんが不思議だった。
お兄ちゃんは半袖のTシャツを着ていた。
道行く人がお兄ちゃんの腕を凝視している。
もちろん、遥輝もその一人だ。
「あれだれ」
「私のお兄ちゃん」
「マジで」
「…とりあえず逃げたほうがいいよ」
遥輝を見上げると、遥輝は同じように私を見下ろし、小声で「ですよね」と返した。
しかしお兄ちゃんは、
「待て待て待て、なんもしないって。
俺、コイツの兄貴だよ、ホントになんもしない」
と、誠太郎のときとは違い、サングラスもかけていない頭髪もボサボサの素顔のままで私達を手招きした。