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お兄ちゃんといっしょ
第29章 巻き戻し
かじかんだ手先を温める息が白い。
駅のホームから見える空は灰色だった。
去年ママに買ってもらったMA-1の袖が短い。
でも今年はこれで我慢しようと思う。
タイセイが「似合う」って言ってくれたから。
ホームに普通電車が滑り込んでくる。
いつの間にか、鎖骨のあたりにまで伸びた髪が乱れる。
通勤ラッシュを過ぎた車内に乗り込む。
車両の前の方に、タイセイの姿を見つけた。
太った身体に、黒いパーカーに黒いスウェットを着てる。
コートを着ないのは暑がりの汗かきだからだ。
長めのツーブロック頭を照れくさそうにかきながら、私の姿を見つけて、ニッコリ笑う。
赤ちゃんみたいなムチムチの笑顔。
私の胸がパッと明るく高鳴る。
「おはよう」
揺れる車内をお互いにつり革を渡り歩きながら近付き、挨拶をした。
タイセイの目線は私の少し上、背は165センチくらいだろう。
「昨日は楽しかったね」
タイセイを見ると、自然に笑みが溢れる。
タイセイは髭の赤ちゃんみたいな口毛の生えた鼻下を指で擦りながら首を横に振った。
「こっちこそ…。昨日、おばあちゃん怒ってなかった?帰りが遅くなっちゃったから」
駅のホームから見える空は灰色だった。
去年ママに買ってもらったMA-1の袖が短い。
でも今年はこれで我慢しようと思う。
タイセイが「似合う」って言ってくれたから。
ホームに普通電車が滑り込んでくる。
いつの間にか、鎖骨のあたりにまで伸びた髪が乱れる。
通勤ラッシュを過ぎた車内に乗り込む。
車両の前の方に、タイセイの姿を見つけた。
太った身体に、黒いパーカーに黒いスウェットを着てる。
コートを着ないのは暑がりの汗かきだからだ。
長めのツーブロック頭を照れくさそうにかきながら、私の姿を見つけて、ニッコリ笑う。
赤ちゃんみたいなムチムチの笑顔。
私の胸がパッと明るく高鳴る。
「おはよう」
揺れる車内をお互いにつり革を渡り歩きながら近付き、挨拶をした。
タイセイの目線は私の少し上、背は165センチくらいだろう。
「昨日は楽しかったね」
タイセイを見ると、自然に笑みが溢れる。
タイセイは髭の赤ちゃんみたいな口毛の生えた鼻下を指で擦りながら首を横に振った。
「こっちこそ…。昨日、おばあちゃん怒ってなかった?帰りが遅くなっちゃったから」