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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
あのあと、私たちはどれくらい無言のドライブを続けたんだろう。
どれくらいのあいだ、私はドキドキしていたんだろう。
おばあちゃんちについたころにはもう、とっくに日が暮れてしまっていた。
シートベルトを外し、小さな声で「ありがとうございました」と言った私に、お兄ちゃんは自分の名刺を差し出した。
「俺のケータイの番号。これでライン検索したらでるから」
名刺には株式会社○○水産、という社名の下に、「藤村 太一」と名前が印刷されていた。
名刺とお兄ちゃんを交互に見つめる私に、去り際、お兄ちゃんは「もしなんかあったら」と切り出した。
「毎日今くらいの時間には出勤してるけど、日曜の6時以降が店暇だから一番助かる。…朝のな」
アルファードの赤いハザードランプが暗闇に完全に消えてから、おばあちゃんちの門を開けた。
ふと目に入った表札は澤井。
そう、おばあちゃんの名字は澤井。
もちろん、引き取る際に養子縁組された私も澤井だ。
ちなみにパパとママの名字は田中。
お兄ちゃんの名前は…澤井龍司。
だって、私といっしょなんだから。
分かったうえで、もう一度名刺を見つめる。
お兄ちゃんはやっぱり、悪い人だ。
優しそうに見えるだけの。
胸が高鳴り、その場で足踏みをせずにはいられなかった。
どれくらいのあいだ、私はドキドキしていたんだろう。
おばあちゃんちについたころにはもう、とっくに日が暮れてしまっていた。
シートベルトを外し、小さな声で「ありがとうございました」と言った私に、お兄ちゃんは自分の名刺を差し出した。
「俺のケータイの番号。これでライン検索したらでるから」
名刺には株式会社○○水産、という社名の下に、「藤村 太一」と名前が印刷されていた。
名刺とお兄ちゃんを交互に見つめる私に、去り際、お兄ちゃんは「もしなんかあったら」と切り出した。
「毎日今くらいの時間には出勤してるけど、日曜の6時以降が店暇だから一番助かる。…朝のな」
アルファードの赤いハザードランプが暗闇に完全に消えてから、おばあちゃんちの門を開けた。
ふと目に入った表札は澤井。
そう、おばあちゃんの名字は澤井。
もちろん、引き取る際に養子縁組された私も澤井だ。
ちなみにパパとママの名字は田中。
お兄ちゃんの名前は…澤井龍司。
だって、私といっしょなんだから。
分かったうえで、もう一度名刺を見つめる。
お兄ちゃんはやっぱり、悪い人だ。
優しそうに見えるだけの。
胸が高鳴り、その場で足踏みをせずにはいられなかった。