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第12章 【第二部 * Water ring * 】見えない心
どうしても…こういうのには慣れない…

あいつが何気なく俺の髪を掻き上げたり、自然体で俺の躯を抱き寄せたりすること。

そういうのは、ヤツにとっては職業柄毎度のことで、何てことないのかもしれないけど、俺にとっては非日常的なことなのだ。

慣れろと言うのが無理だろう。

しかも相手が耿輔とくれば尚のこと。

友だちとふざけあってしてるのとは訳が違う。

だって、耿輔が俺に求めているのは、友だち同士の馴れ合いじゃない。
 
スケベな下心が見え見えで。
 
…これって、でも…ホントは──
俺も求めてるんじゃないのか……
                          *

『逃げるなよ…』

ヤツの哀しそうな声が脳裏を過ぎる。

また、勝手なことばかり言いやがって…
無理矢掴まえようとするから逃げるんじゃないか。俺がそういうことに慣れてないことくらい知ってるだろ。

おまえとは違うんだから…いつかは慣れるって問題じゃないんだ。
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