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第19章 無限後退 或いは“収束"

それが焼かせてみたら、意外に上手かったのだ。モトミとは違って器用な人間。

モトミの家事は努力して獲得した賜だけど、耿輔の場合はそういうわけではない。

何でもそつなくこなす耿輔と、不器用なモトミ。そして、独創的な思考の実咲。

みんなそれぞれ違うから、それ故お互い惹き付けられているのかもしれない。

こんな凸凹人間集めようったって、そう簡単に集まるものじゃない。
　

天気は快晴。
仕事は軽快。
焼きそばは順調にはけていく。


ここにあるのは、不思議な温もり。
慈愛に満ちた…とは言い難いけど、みんな愛すべき人々。


躊躇ったり、立ち止まったり、迷いだらけのモトミだけど、こんな風にみんなが上手くやっていけるのはそんなモトミが居るから。


”モトミの笑顔がみんなを繋ぐ”


それは、本人だけが気付いていない魔法。


《運命を変えるのは自分。
君の笑顔がある限り明日はきっと耀く》



(La Fin)