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囚われの城
第2章 主、桐原 黎明
龍と瑠菜は夜遅くまで話をした。
瑠菜が眠ると、龍は静かに部屋を出る。
時計の音だけが響いていた。
「瑠菜ー!朝だよー!」
「あっ!は、はい!」
朝5時、瑠菜は起こされた。
目の前には、胸をさらけ出したメイド服を着た、瑠菜と同い年くらいの女の子がいる。
「あたしはミカンだよ。13歳で、瑠菜と同じ頃からここにいるの」
「よろしくお願いします」
「あははっ!ため口でいいよ!龍さんから制服もらってないんだよね?」
「はい、まだ……」
「じゃあ、龍さんの部屋に行ってみなよ。奥の廊下を右に行ったところにあるから」
「うん、ありがとう」
ミカンに教えてもらった通り、先輩メイドに挨拶をしながら龍の部屋に向かった。
ドアの前に立つと、一呼吸置いてドアをノックする。
「おはようございます。瑠菜です」
「入って」
「失礼します」
瑠菜がドアを開ける。
上半身裸の龍が、ドライヤーで髪を乾かしていた。
その背中には、威嚇する伝説上の生き物である龍が描かれていた。
瑠菜は足を止めて少しうつ向く。
それに気付いた龍は、にっこり笑って瑠菜に近付き、頭を撫でる。
「ごめん。怖がらせちゃったかな?」
「い、いえ、大丈夫です」
「男の裸と、こういう模様にも慣れていかないといけないけど、少しずつでいいからね」
龍は穏やかな口調でそう言うと、白いシャツを羽織った。
そして瑠菜の手を引き、ミカンを呼んで、朝の掃除を教えてもらった。
それが終わると瑠菜の服を持って女の人が瑠菜の前に現れた。
「じゃあ、瑠菜ちゃん。着替えておいで。俺はここで待ってる」
「はい」
瑠菜は制服を持って部屋に戻る。
メイド服に身を包むと、恥ずかしさのあまり部屋から出られなくなってしまった。
龍は若い男だ。
こんな姿を見せることに、やはり恥ずかしさはある。
やがて、心配した龍が部屋に入ってきた。
「よかった、サイズが合わないのかと思った」
「……」
「かわいいよ。さ、おいで」
龍は今までと同じように、瑠菜の手を引いた。
恥ずかしいメイド服に身を包む瑠菜に対して、龍は特に何も言わなかった。