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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」
「あの…私も出ましょうか…」
「いえ、あなたは残ってください」
校長は元の席に戻り、保健の先生を隣に座らせた。
「驚かせて悪かったね。これからは、正直に話して欲しい。杉浦さん、きみは、桐原財閥を知っているね?」
「…はい。あたしは、桐原財閥に売られた身です」
瑠菜は今のことで校長を信用し、ハッキリと言った。
それを聞いた校長は、メガネを外して小さなため息をついた。
「母親に借金があり、返せなくなって、あたしが売られたんです。屋敷のメイドとして、小学校を卒業してすぐ…。でも、なぜかご主人様が解放してくれました」
現実として受け入れがたい話なのに、校長は目を逸らさず聞いてくれた。
「どこに売られたんですか?具体的に仲介をした人を知っていますか?」
「その辺りのことは詳しくわかりませんが、家に頻繁に男の人が来て、母と話をしていました」
「ほう…」
「ある日突然、母に連れて行かれた場所には…」
瑠菜は日向と出会った時のことを思い出して言葉が詰まった。
急に脱がされ、日向に持ち上げられ、恥ずかしい部分をさらけ出され…。
グッと瑠菜の下腹部が反応する。
「話したくないことは無理に言わなくていいですよ」
優しく言葉をかけるのは、眉根を寄せて苦しそうな顔をする、保健の先生だ。
瑠菜は一呼吸置いて、校長の目をまっすぐに見た。
「日向という人が仲介をしていました。そして桐原財閥のご主人様…黎明様の下でメイドとしてお仕えすることになりました」
「戸惑いませんでしたか?」
「それは最初は戸惑いました。とても怖かった…でも、龍さんという、私を支えてくれる人がいて、いろいろと知っていきました。そして…」
私は屋敷で処女を失いましたーーー
それは言えなかった。
でも、話を聞いていた二人は、何かを察したようだ。
「あなたの話は信じ難い。しかし、なぜ父親は守ってくれなかったのか…」
「…え?」
父親って、あたしの…?
そんなの、誰だかわからないってお母さんも言っていた。
守ってくれるはずなんてない。