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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」
瑠菜の目から涙が零れる。
黎明に怒られて怖いのもある。
しかし、瑠菜の心はモヤモヤしていた。
学校でのことや、紫苑のことがあって、瑠菜の心は壊れる寸前だった。
そんな中、久しぶりに黎明にあった…。
複雑な心境の中、安心してしまったのだ。
「なんかあったのか?」
「うっうぅごめん、なさっ…ふっ」
しゃくりあげるように泣く瑠菜は、小さくなって座り込む。
黎明はめんどくさそうにため息を吐くと、瑠菜を無視してソファに座り直した。
「うぜーから泣くな」
「…うっひっく…うぅ」
「はぁー…」
一度涙のリミッターが外れてしまった瑠菜に、黎明の言葉は届かない。
いくら怒っても、瑠菜はただ小さくなって泣くだけだった。
その時、ガチャッとドアが開く音がして、誰かが入ってきた。
「おや、やはりここでしたか」
「…なんでてめーが来んだよ」
「あなたが屋敷にいないからですよ」
そこに現れたのは、日向だった。
日向は黎明の横にひざまずき、書類を出す。
「例の件はこれで一件落着でしょう。龍もうまいことやってますし」
「…本当だろうな」
「心配ならご自分で一からやればよろしい」
「チッ」