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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」
「お前、自分が何を言ってんのかわかってる?」
「解放は特例でしたから、次はありませんよ」
日向は瑠菜の背中をさする手を離し、メガネをなおす。
黎明も瑠菜の前にきて、ポケットに手を突っ込み瑠菜を覗き込む。
二人の男に凄まれても、瑠菜は駄々をこね続けた。
「戻りたい…も、嫌だよぉ…」
「お前、嫌だから戻りてーのかよ」
「それは納得できませんね」
ぼろぼろと涙をこぼしながら、口を大きく開けて小さい子供のように泣く瑠菜。
「あぁ、もう、マジうっせー!」
「なぜ急に戻りたくなったんです?城でのことも辛いでしょう?」
「だって…龍さんも、日向さんも、ご主人様も…優しいから…」
うっ…!
日向と黎明が面食らう。
自分たちは相当瑠菜にエグいことをしてきたはずなのに、優しいと言われた。
普段言われない分、言われた時の反応がわからなかった。
「城にお前がいるなら、俺は守ってやる。だが、解放された今は、他人だ」
「…うぅ」
「無理に連れて行かれるはずの城へ入りたいのでは、条件をつけなければなりませんね」
「そうだな…。10月いっぱいは、何があろうと学校へ通え。あとはそれからだ」