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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」

放課後、一人さっさと帰り支度をしていた。

さよならを言う相手もいない。

どうせ学校に長くいても、面白がってからかわれるだけ。

瑠菜は誰より先に教室を出る。


「瑠菜!」


その時、後ろから声がして振り返った。

ユズが少し気まずそうな顔で瑠菜の名を呼んだのだ。


「あの…」

「…なに?」

「あのね…」


ユズは下唇を噛み、言いにくそうな感じで口ごもる。


「急ぐから…じゃあね」


瑠菜はそんなユズが見ていられなくて、冷たく背を向ける。

突き放されて傷付くなら、近付かなければいい。

瑠菜はそう思った。

しかし、ユズは小走りで瑠菜を追いかける。


「あたし、ちゃんと瑠菜と話したい…!」

「…ユズ」

「ごめんね、避けてて…。でも、今度はちゃんと向き合う。あたし、瑠菜とちゃんと話したい」


話すことなんてない。

そう突き放せば、自分は傷付かずに済む。

しかし瑠菜は、まっすぐユズの目を見ていた。


「勝手なのはわかってる。部活終わったら、サッカー部の部室に来て」

「…うん」

「待ってるから…」

「…うん」


ユズはぎこちなく笑って走って行った。

よかった、親友にだけはちゃんと話せそう。

瑠菜は気持ちが少し明るくなり、部活が終わるまでの2時間をどう過ごそうか考える。


学校にいるときっと何か言われる。

私立図書館にもここの生徒はよく行ってるみたいだし…。

考えた結果、一度マンションに戻ってシャワーを浴びることにした。

シャワーを頭から浴びながら、まず何からユズに話そうかを考える。

正直に言うとは決めていたが、拒絶される恐怖はかなり大きい。


「あ、そろそろ行かなきゃ…」


制服を着直してマンションを出る。

辺りはもう暗闇に包まれていて、怖がりの瑠菜は小走りで学校へと向かった。

グラウンドは静かだ。


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