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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」
瑠菜が目を覚ますと、見慣れた天井が目に入った。
ここは…家?
起き上がろうと体を起こすと、腰が重くて鈍い痛みがある。
「瑠菜ちゃん、大丈夫?」
「龍さん…あたし…」
瑠菜は記憶を取り戻し、自分をだきしめるように腕に力をこめる。
あのとき、気を失ったんだ。
ここまで運んできてくれたのは、龍さん…?
「おかゆ、作ったんだ。美味しいかわからないけど…」
龍は湯気の出る土鍋から小皿におかゆをとりわけ、スプーンに少し乗せてふーふーと冷ます。
それを慎重に瑠菜の口へと運ぶ。
「美味しいです」
「ほんと?よかったぁ」
まるで子供のように、龍は柔らかく笑った。
その笑顔が可愛くて、瑠菜は心が苦しくなった。
ふと時計を見ると、10時を指している。
そういえば、体のベタベタもないし…。
「今日は欠席の連絡入れたから。制服は、新しいのがある。悪いとは思ったけど、お風呂で体きれいにしたから」
龍は瑠菜の知りたかったことを丁寧に説明した。
瑠菜がおかゆを飲み込むのを確認すると、またスプーンを差し出す。
ーーーあの夢の人は、龍さんだろうか。
淡い塩味のおかゆの味を噛み締めながら、瑠菜はそんなことを考えていた。