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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」
「噂になってることって、全部本当なんだ」
「…え?瑠菜が桐原財閥の…」
「そう。あたし売られたの、あの屋敷に」
ユズが落ち着いてから、瑠菜はまっすぐに言った。
呼び出された時、ユズに全てを話そうと心に決めていた。
屋敷に売られ、出会った黎明と日向と龍のこと。
そして、屋敷でしていたこと。
軽蔑されても仕方ないが、ユズが見せてくれた勇気に応えなければいけない。
瑠菜は、全てを話した。
ユズは時折相槌を打ちながら、口出しせずに聞いてくれた。
「これが、あたしの全部」
「瑠菜、11月になったら屋敷に行っちゃうの…?」
落ち着いたはずの涙が、ユズの目にたまる。
そんな汚い女に抱きしめられたことが悔しい…そう思われてたらどうしよう…。
不安になって目をぎゅっとつむる。
「やだよ、瑠菜…行かないで」
「え?」
「せっかく仲直りできたのに、寂しいよ!やだやだ!絶対行かないで!」
ユズは必死になって瑠菜を揺さぶる。
瑠菜の心までも揺さぶられたが、自分から主に言ってしまった今、撤回なんてできないということは百も承知だった。
「龍さんて人にはお願いできないの?瑠菜のこと、すごく心配してくれる人なんでしょ?」