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囚われの城
第3章 屋敷のしきたり
日向は立ち去ろうとする瑠菜に、冷めた声で言った。
ドキッとして日向の顔を見ると、あの鋭い目は廊下の電気を反射し、不気味に光っていた。
その言葉の真意を聞こうとしたが、瑠菜は急に怖くなり、お辞儀だけして立ち去った。
「瑠菜!ご主人様がみんなを呼んでる!」
「え?どこですか?」
「玄関ホールよ!」
「はい、行きます」
先輩メイドが叫びながら走っている。
瑠菜はすぐに玄関ホールに走った。
そこには、整列せずに集まっているメイドが多数。
そして瑠菜は衝撃を受けた。
ホールの隅に、大型犬を入れるような鉄格子の檻が10個程あり、中に裸の女がぎゅうぎゅう詰めにされていた。
その女たちの首には首輪が付けられている。
「瑠菜!トイレ長すぎ!」
「ミカンちゃん!あの、人たちは?」
「……」
瑠菜の姿を見つけると、ミカンが駆け寄ってきた。
そういえば、トイレに行きたかった気持ちが落ち着いてる、なんて冷静に思っていた。
「あの人たちは、畜の間の人と拷の間の人。檻の住人には、近付いちゃダメだよ」
「……うん」
メイドたちは笑って会話もできる。
お風呂にも入れるし、トイレも自由に使えるし、黎明から許可が降りれば外出も可能だ。
しかし鉄格子の檻に入れられた人間は、すべてが制限される生活。
瑠菜は野獣のような目で睨み付ける檻の住人から、目をそらした。
「ご主人様からの話ってなにかな?」
「出張の話でしょ。檻の住人もいるんだし」
「どうせAランクのメイドしか行けないわ。行きたいとも思わないけど」
「ご主人様がいらしたわ」
他のメイドたちがざわざわと話をする。
そこに登場したのは、相変わらず高級ブランドのスーツに身を包んだ、黎明だ。
黎明が登場した瞬間、メイドたちは姿勢を正す。
「今回はとある政治家の自宅と有名俳優の別荘に行ってもらう。政治家は5組、10名、8の2。俳優は6組、6名、3の3」
「え?それって、ほとんど全員じゃないですか……」
ミカンが呟いた。