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囚われの城
第3章 屋敷のしきたり
瑠菜はあまり理解できていなかったが、黎明の話は進んでいく。
「それぞれ希望はあるだろうが、割り振りについては俺が決定した」
「ふふっ。桐原さん、それについては私がほとんど指揮をとったのをお忘れなく」
「チッ。黙っとけお前」
「失礼。自己主張が強いもので」
黎明の後ろから、日向が薄い笑みを浮かべて登場した。
瑠菜は拳を握りしめた。
「皆さんの部屋に割り振り表を貼っておきましたのでご確認ください。それから私からもうひとつ」
「おい、日向!」
「ドイツの富豪が10人程を希望されております。この件はまだ、桐原さんに言ってないのですが……私が選んだ人間を掲示しようと思います」
ざわざわとメイドたちが急にざわつき始めた。
黎明も、日向の突然な発表に戸惑っているようだ。
「桐原さん、他に発表は?」
「……いや、ない」
「そうですか。では、解散……ですね」
集会は解散し、メイドたちは各々の部屋に戻った。
瑠菜もミカンと一緒に部屋に戻った。
ミカンは俳優の別荘へ出張することになっていた。
「ミカンちゃん、さっきご主人様が言ってた、何名の3の2とかってどういう意味?」
「あ、瑠菜は知らないんだったね。でもごめん、あたしこれから用事あるの。龍さんのところに行って教えてもらって?」
「龍……さん?」
「龍さんなら詳しく丁寧に教えてくれるから大丈夫だよ。ごめん、行くね!」
ミカンはトートバッグを持って行ってしまった。
他のメイドたちも忙しそうに動いている。
瑠菜は龍の部屋に向かった。
いつものようにノックをすると、中からいつもの龍の声がした。
「失礼します」
「瑠菜ちゃん、さっきの出張の割り振り表見たかい?」
「え?あ、はい。あたしの名前はありませんでした」
「だろうね。主はみんなの出張の間に、きみを女にするつもりなんだよ」
「女に……?」
「そう。さっきの主の話は、理解できた?」
「いえ、あまり……」