この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
囚われの城
第3章 屋敷のしきたり
龍はクスッと笑うと、瑠菜をベッドに座らせた。
そして黎明が言ったことをひとつひとつ説明し始めた。
桐原財閥は知っての通り裏社会では名の通った組織だ。
高額で女を買い取り、その女を教育し、政治家や社長連中に 女の貸し出しをしている。
いつもは10名程度なのだが、今回は屋敷のメイドのほぼ全員 が召集された。
「主はあの時、10名、8の2とかって言ってたのは覚えてるか い?」
「はい。それが一番謎でした」
「出張される人間は全部で10人、メイドが8人の檻の住人が2 人。翻訳するとこんな感じ」
「なるほど……」
メイドはいつもの制服を身に付けて、客の目を楽しませるだけの場合もある。
しかし性的な、奥さんとでは叶わない情熱的なセックスを求める客もいる。
逆に礼儀をわきまえた上品なメイドとして、スーツを支給される場合もある。
そのどれもに順応できるメイドは、ここにいる桐原財閥のメイドにしかできない。
龍はそう言って、瑠菜に自信をつけさせた。
「出張はだいたい5日間なんだ。その間はメイドにとっての主は、客ってことになる」
「じゃあ、日向さんが言ってたのはどういうことなんですか?」
「日向の発表は主も知らなかったことだからね」
日向……。
龍は日向を呼び捨てにした。
ちょっとしたことなのに、瑠菜は気になった。
「日向は人身売買専門なんだ。女を桐原財閥に売り、その金は一度日向の組に入る。こう言うのは酷かもしれないが、親が子供を借金の肩代わりにした場合、親が無事なのかは誰にもわからない」
「……え?」
「日向は鬼だ。自分以外の人間は商品としか思ってないから、骨の髄まで搾り取る。売り手を無事に逃がすなんて考えられない」
そして日向は今回、メイドを10人程買い取りたいと言った。
買い取ったメイドは別の人間に売られる。
どこを探しても桐原邸にいるメイド程、オールマイティーな人材はいないだろう。